あなたが食べている野菜 安全と言われる根拠は?

安全な農産物があたりまえに時代に

農薬は毒?それとも薬?

「農薬を使った作物は危険だ!虫がつかない農作物は人にも良くない。」と盛んに言われています。
でも、本当に農薬は毒で害になるものなのでしょうか?

わたしたちは小さいころから、「野菜は農薬がついているから水でよく洗い流しなさい」「皮があるものは厚くむくようにしなさい」などと言われたものでした。野菜用の洗剤という、今考えたらよく分からない商品もあった時代。あのころに農薬は毒だと洗脳されてしまった気もします。

確かに、かつては健康被害が出るほど毒性の強いものがたくさんあったのでしょう。でも現状はどうなのかな?と、ふと思ったのです。

なので、善悪を論じるのは別の機会に譲り、今回は、国内での農薬使用に関する根拠と現状をまとめてみました。

なぜ、あえてリスクあるものを使うのか?

日本は温暖で湿潤な気象条件で病気や害虫が発生しやすいことから、農産物を生産する時に発生する病気により農作物が枯れる、害虫に収穫物を食べられるなどの被害を防ぎ、生産量を確保する必要が少なからずあります。

農林水産省では、“安全な農産物を安定的に国民に供給するため”として、必要な範囲で農薬を使用できるようにしているのです。

農薬の安全性確保の仕組み(使用基準のポイント)

農林水産省は、使用基準に従って使用すれば安全であると判断できる農薬だけ、農薬取締法に基づき登録を行っています。国内では農薬取締法に基づいて登録されていない農薬は使用できません。

  1.  その農薬を適用できる作物以外へは使用しない
  2.  定められた使用量または濃度を超えて使用しない
  3.  定められた使用時期(収穫前日数など)を守る
  4.  定められた総使用回数以内で使用する

農薬のラベルには安全な農作物の生産と農薬の効果的な使用のために、毒性、適用作物、対象病害虫、使用濃度、使用量、使用時期、使用回数など、安全で効果的な使用方法が詳しく書かれています。

 農業協同組合に加盟している生産者は、農協の指導を受けて種まきから肥料農薬の散布などの農作業をします。
農薬を散布する期間も決まっているので、何日に雨が降りそうだから何日のいつごろまこうかと、天気を気にしながら農家の人たちが相談しているのを時折耳にします。
雨が降ると農薬が流れ落ちてしまい効果が薄くなってしまうからです。

私が住んでいる地域は農村地帯で、数年前からヘリコプターでの農薬散布が行われています。
農協に申し込みをしておくと専門の方たちが田んぼを順番に回って小型のヘリコプターをリモコンで操縦してまいてくれるのです。
後継者不足や高齢化が進んでいるので重労働の解消は大変助かっているようです。

農薬取締法による規制 (農林水産省)

農薬は、農薬取締法により農林水産省の登録を受けなければ販売できません。

登録のない農薬の使用や、定められた使用基準に反する使用は禁止されており、使用者が違反した場合は3年以下の懲役、100万円以下の罰金が科せられます。

農薬の安全性評価 (食品安全委員会)

農薬の安全性については食品安全委員会で評価され、ADI(1日摂取許容量)が設定されています。

残留農薬基準の設定 (厚生労働省)

食品衛生法に基づいて、食品に残留する農薬の許容限度を定めており、残留農薬基準を超えるような農薬が残留している農産物は販売禁止などの措置がとられることにより、農作物の安全が確保されています。

従来、食品に使われる農薬の残留基準は、ネガティブリスト制に基づいて定められてきました。この制度では、残留基準が定められていない農薬では、規制の対象外となるために、流通することができました。例えば、輸入した冷凍野菜に農薬の残留が検出されても、リストにない農薬であれば、その流通を規制できなかったのです。

そこで、食品の安全性をより徹底して確保するために、平成18年5月29日にポジティブリスト制度(食品衛生法)が施行されました。

  • ネガティブリスト制度は、原則規制がなく、「残留してはならない」農薬のみを一覧表に示すものです。
  • ポジティブリスト制度は、原則すべてを禁止し、「残留を認める」農薬のみを一覧表にして示すものです。 

ポジティブリスト制度

  1. 「暫定基準」での規制
  2. 「一律基準」で基準値が設定されていない農薬等には「人の健康を損なうおそれのない量」として、0.01ppmが適用され、この数値を超える場合は流通が禁止されます。
  3. 「対象外物質」として残留しても人の健康を損なう恐れのない物質を設定(食品衛生法で重曹やアミノ酸など65物質が定められています。)

果物も農産物

TPPで輸入が増えるだろう
外国産農作物の安全性は?

食品の輸入時には、検疫所において残留農薬の抜き取り検査などを行っていて、国内基準に満たないものを水際で防いでいます。

日本の食料自給率は40%程度。
TPP締結でこれから海外からの食品が増加していくと残留農薬による健康被害がおきないか不安がありますよね。急激な変化に対応するために、新たにさまざまな取り組みが必要ではないでしょうか?
一方で海外からは安全基準が貿易障壁にならないよう是正を求める声も出ると予想されます。今後の状況をしっかりと見守りたいものです。

農薬が体に与える影響は?

現在、普通にスーパーで売られている野菜や果物には基本的に農薬がついています。しかし販売されているものは、国の基準値を満たしているので、直接命にかかわる害はないということになっています。

しかし、すぐに目に見える害がないとはいえ農薬はできる限り落としたいものですよね。

残留農薬の落とし方

水洗い(流水で30秒以上洗いましょう、農産物専用洗剤や食器用洗剤は必要ありません)、皮をむく、調理・加工(煮る、炒める、焼く、蒸す、漬ける)で10~90%程度の残留農薬を減らすことができます。

重曹で洗っても大丈夫?

環境や健康のために食器を洗う際に重曹を使用している人は多いようですが、野菜の農薬除去にも重曹は効果があります。

農薬の塩素化合物が重曹(炭酸水素ナトリウム)のナトリウムにくっついて、塩(塩化ナトリウム)に変化することで農薬を除去できると言われています。重曹は食品衛生法で「対象外物質」として残留しても人の健康を損なう恐れのない物質とされているので安心です。

 

一定の安全性を確保しながら、できるかぎりコストを抑えて安定供給する。農薬とうまくつきあうことが多くの人口をまかなうために必要な選択肢であることも、調べていくことで垣間見えてきた気がします。

農産物を今より安心していただくために、今後さらにこの問題を掘り下げてみたいと思っています。