頭をよくしたい! 脳にいい食べ物って何かあるの?

お子さんを頭脳明晰にする食べ物って?

賢くなりたい。記憶力を上げたい。一度は思ったことありませんか? 

手っ取り早く頭がよくなる方法……

 

そんな方法はありません!  キッパリ。
みなさん、言うまでもなくお分かりですよね?

でも、脳にいい食べ物なんてものがあったらどうします?
というか、「食べるだけで賢くなれればいいな」って思ったことありませんか?

実際に脳にダイレクトに働きをかける食材ってあるのでしょうか?
くるみ? 大豆? DHA(ドコサヘキサエン酸)の豊富な青魚?

「脳にいい」ってどういうことでしょう?

「脳にいい食べ物」で検索をすると食材のランキングサイトなんかが出てきます。
子育て世代のママたちが、お子様の頭を良くしたいという思いが強いのかもしれませんね。
お受験や中受を控えていて、合格できるのなら何でもやりたいという、きっと藁をもすがる思いなのでしょう。(かくいう私もそうでした……)
みなさん日々の献立に活用したいと興味津々のようです。

結論から言いますと、「脳にいい食べ物」は確かにあるのでしょうが、おそらくあなたが求める目的(頭がよく回るとかお子さんの成績がアップするといったこと)に対してはちょっと違ったお話になってしまうかと思います。
なので、長くなりますが、必ず納得いただけると思いますのでおつきあいくださいね。

食材と機能性についてのヨモヤマ話

基本的に食材(厳密にいえば栄養素)による身体における何らかの働き(これを機能性と言います)について、数か月程度の“短期間”摂取で、自分自身あるいは他者からも分かる程度に十分に相関が認められる研究というのは、思ったほど多くありません。

同時に、数年〜数十年といった“長期間”摂取に関して有意な相関を実証する追跡もまた、残念ながら、ほとんど存在しないのです。

アタマが良くなる、記憶力がアップするなどのブースト観点から、短期間で結果が出るような栄養素の量を食材から摂取したい。
そんなふうに思っても、比較的摂取しやすい食物繊維や一部のビタミン類を除けば、現実的には非常に困難です。
逆に言うと短期間で結果が出ると予想されるものは、すでに「薬」の領域である(高濃度であるため副作用リスクがある)ということになります。

また、相関が予想される長期間摂取(食習慣)については、実のところよく分かっていない部分が多いのです。

ですから食材と機能性についての相関は、ブースト観点ではなく、サプライ観点で見ていくことなのかなと思います。

つまり食習慣を観察して、これらが欠乏していないか気を配る方向性ということです。

以下、栄養成分と機能性からの食材をあげてみました。

鉄分、葉酸、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12
〜貧血予防、造血系〜

豚肉は鉄分を豊富に含みますエネルギーや栄養素は、血管・血液によって運ばれるので、貧血を防ぎ、造血系機能を持つ栄養素は「脳に良い」と言えます。

鉄には、動物性食品に含まれるヘム鉄と、植物性食品や乳製品、卵などに含まれる非ヘム鉄があります。
ヘム鉄のほうが非ヘム鉄に比べて吸収効率が数倍高く、また非ヘム鉄吸収にはビタミンCが必要になります。 ヘム鉄は豚レバー赤身の肉貝類小魚類、非ヘム鉄は大豆ほうれん草小松菜卵黄などから摂取可能です。
非ヘム鉄を含む食品と動物の肉を同時に摂取すると非ヘム鉄の吸収が促進されることが分かっています。

葉酸は、葉物野菜海藻果物などに含まれますが、熱で壊れやすく水に溶けてしまうので、サラダや納豆などで摂取するのがオススメ。

ビタミンB2は、赤血球や抗体の生成以外にも、三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)からのエネルギー産生に関与して、全身の細胞の再生と成長に深くかかわっているので、とくに成長期の子どもや運動量の多い人(エネルギー消費量の多い人)には重要な栄養素です。
ストレス耐性を高める効果もあるので、不規則な生活習慣や過度のストレスに晒されている人は、より多くのビタミンB2が必要です。
レバーに多く含まれるほか、乳製品卵黄ウナギ納豆魚卵から摂取できます。
水溶性ビタミンなので煮汁なども一緒に摂るようにしましょう。

ビタミンB6は、赤血球の生成のほか、ホルモンバランスや免疫にも関わります。タンパク質代謝に欠かせないものなので、タンパク質を多く摂取する場合には同時にビタミンB6摂取も心がけます。
レバーマグロの赤身のほかニンニクバナナ穀類種子などにも含まれています。
特に日本人の主食であるには多く含まれているので元来は不足することがなかったのですが、最近は米飯の摂取が減ってきていることが指摘されているので、少し注意が必要かもしれません。

ビタミンB12は、葉酸とともにアミノ酸の代謝に関与します。これが不足すると正常な造血機能が損なわれてしまいます。
レバー貝類牛乳魚類から摂取することができます。魚類や貝類はできるだけ内臓部分も一緒に食べるようにしましょう。

ビタミンB6、ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、亜鉛
〜神経伝達系〜

新鮮な生野菜のサラダ造血にもかかわるビタミンB6は、ドーパミン、アドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質合成にも使われます。

ビタミンCも同様に、ドーパミンやアドレナリンといった神経伝達物質の合成に関与するほか、抗ストレスホルモン合成によりストレス耐性を高めたり、抗酸化作用により活性酸素由来の疾病リスクを低減したりします。
緑黄色野菜果物に含まれますが、熱に弱く水溶性であるため、サラダや軽く茹でる程度の調理で摂取します。

骨格などの体組成成分として知られるカルシウムですが、細胞や血液中で神経伝達や筋肉の正常な働きにも関与しています。これが欠乏するとイライラの原因になってしまいます。
成長期の子どもはもちろんのこと、骨粗しょう症が危惧される女性や高齢者にとっても重要な栄養素であるカルシウムですが、日本人はもともと摂取不足だと言われてきました。近年の加工品や脂質過多な食生活によるカルシウム吸収阻害が、さらに不足傾向に拍車をかけています。
食材としては、ドジョウイワシ干しエビなどの魚介類ヒジキなどの海藻類に多く含まれ、プロセスチーズ牛乳などの乳製品からも効率よく吸収できます。また、ビタミンDがカルシウムの吸収を助けることはよく知られており、これはお日さまに当たることで体内に生成されます。

マグネシウムも近年の食生活による吸収阻害が起きやすく、また、多くは骨に貯蔵されていて、ストレスに晒されたりすると血中に溶け出す、少量ながら細胞内に存在して体温調節や神経伝達、筋肉収縮などに関わるという点でも、カルシウムと関連の深い栄養素です。
そば豆腐納豆ひじき玄米ほうれん草アーモンドゴマなどから摂取することができます。

亜鉛はDNAやRNAなどの核酸合成、タンパク質合成などに関わりますが、成長期の子どもやストレスに晒された状況で不足しがちな栄養素です。近年のファーストフード偏重による味覚異常にもこの欠乏が関係していると言われます。
豚レバー赤身の肉牡蠣納豆などに多く含まれています。

コレステロール、不飽和脂肪酸
〜細胞膜の流動性維持や機能保持〜

コレステロールは細胞膜やステロイドホルモン、性ホルモンの材料になったり、脂質の消化吸収を促したり、ビタミンDを作るなどの重要な働きがあります。血中濃度は高すぎても低すぎても良くないと言われています。
動物性脂肪を過度に摂らないように心がけることが大事です。

青魚の魚油に含まれるIPAやDHAなどの不飽和脂肪酸は、中性脂肪や血中コレステロール値を下げて血管の流動性を保つ働きがあります。DHAが記憶など脳の働きをよくするという説もありますが、生理機序は解明されていません。
赤血球や脳細胞などの細胞膜の機能保全に関与しているということは確かなので、少なくともその点では「脳に良い」わけです。

もっと本質的な話

さて、ここまで読んでみて「なぁ〜んだ、普通じゃん、教科書どおりなのね」と思った方、正解です!

最初に書きましたように、そもそも、それこそFラン級から東大ストレートイン級の明らかなブースト効果を食材に期待することは、できないのですね。残念。

脳にいい食材を探すことよりも、特に成長期の子どもにとって大事なこと……、例えば、肉体的な基礎となる骨格や筋肉の形成・成長を十分に促してあげることです。

そのために必要な栄養素をまんべんなく偏りなく摂取するような食習慣、「朝はきちんと食べましょう」とか、そんな基本を普段から身につける。
散歩などの適度な運動習慣も合わせると脳の活性化により記憶力上昇につながりますし、ビタミンDを合成してカルシウム吸収を促すことで骨粗しょう症やフレイルの予防にも役立ちます。もちろんメンタル面の安定にも働きます。
たとえば、食べたあとに消化促進や血糖値の急上昇を抑える意味で片付けを手伝わせるのもひとつのアイデアですね。

そして、食事には機能性のほかに栄養素摂取と感覚的刺激という大事な要素があることも、伸び伸びとした環境の中でしっかり身につけさせることが肝要です。脳も身体も食べるものから出来ている。
そのためには、何より親がお手本を示す必要があります。
極端なダイエットやファーストフード依存などは問題外。一緒に食事をしながら辛抱強く躾けをしましょう。
子育てって、こういうことなのか…… ほんと、実感します。

子どもは、よく食べる、よく遊ぶ、よく寝る。
この毎日が、よく学ぶ、につながると思いますよ!

 

以下に、参考になりそうなサイトをご紹介しておきます。