未来の農業「自然栽培」の野菜が、密かにもてはやされる理由

ヘルシーな野菜は本当にヘルシーなの?

ここ数年、じわじわと注目を集めている「自然栽培」という言葉、お聞きになったことはありますか?

有機栽培や無農薬栽培と混同されやすいのですが、実は、かなり違っていて、国内生産量はわずか0.1%以下とも言われている希少な栽培方法なんです。

まだまだ一般的ではないので、自然栽培の作物にスーパーや青果店の店頭で巡り会う機会はないかもしれません。それでも、インターネット上の専門店は、少しずつ見かけるようになりました。

これからさらに希少価値が高まると予想される自然栽培。
どのようなものなのか、一般的な栽培とはどういった違いがあるのかを知っておくと、あなたの選択眼はますます磨かれると思います。

自然栽培とは

自然栽培には有機栽培のように法律的な定義は設けられてはいません。
基本的には農薬や化学肥料はもちろん、有機肥料に関しても農地に供給せずに、自然の持っている力を最大限引き出しながら行う農業や栽培全般のことを指します。

肥料を与えないと貧弱な作物になるのでは?
ところが、そうではないようです。

肥料が与えられて、育つ土に十分な栄養があれば、作物はその栄養に依存して育ちます。
でも、肥料が与えられなければ、作物は養分を求めて根を地中深く伸ばし、土の中の微生物たちと共生して生命力に溢れた作物が育つようなのです。

こういった自然の力をうまく生かした農法なのですが、先述したようにきっちりした定義がないため、自然栽培を行うそれぞれの団体や生産者が、独自の基準を掲げているというのが現状。実際の育て方自体にも多少の違いがあるようです。

一般的に栽培されている作物について

スーパーや青果店に並んでいる野菜は、広く行われている“慣行栽培”で育てられたものがほとんど。
私たちがふだん口にしてる一般的な農作物は、どのように育てられているのでしょうか?

大地の恵みも技術力で変わる日本のみならず、世界中で行われている農業は、いかに多くの作物を安定して出荷するかといった考え方をベースにしています。そのために、農薬や化学肥料など、人工的に作り出した物も最大限に活用して収量増加と均一化を目指すのです。

これらは農業に効率化と安定をもたらした反面、健康被害などの問題を引き起こしたため、現在では内容や使用量に規制がかけられていますが、依然、消費者も直接扱う農業従事者も、人体への影響や作物への残留農薬といった不安要素にさらされています。

とは言うものの、年間を通じて豊富な種類の野菜を安定して食べられるのは、既存の栽培技術があってこそです。私たちはその現状に依存して生活しているのです。
ちなみに、日本は単位面積当たりの農薬使用量が世界一と言われています。

自然栽培の現状と必要性

今、日本の農業は、食糧自給率の低さや耕作放棄地の増加、後継者不足など、深刻な多くの問題を抱えています。そんな中、まだ確立した技術がなく、収穫量も低い自然栽培にあえてチャレンジされる方が増えているのはなぜでしょうか。

1つは自ら必要性を感じ、少しでも無農薬や自然なものを求める消費者が増えてきていることが挙げられます。こういった層の人には、化石燃料の使用量が少ないため環境に優しいうえに安全で安心という自然栽培は、とても魅力的に受け止められているのです。

普通の人にとっては、何より段違いの味わいや風味のよさが魅力でしょう。

一方で、肥料と農薬を使わないため、それらにかかるコストを抑えられると同時に、散布するための労働時間を節約できるというメリットが、生産者側にはあるのです。

デメリットは、現状では条件に合致した農地の確保が難しく収量が限定されてしまうこと。そして、どうしても見た目が悪くなりがちで大きさや形がばらついてしまいますし、無農薬の証しでありながら女性が苦手な“虫”とお友達になる必要があるところでしょうか。後者は消費者側の受け取り方の問題とも言えますね。

インターネットで自然栽培に取り組む生産者のサイトを検索すると、自らの意志で熱意と労力をこの農法に注ぎ込んでいる方々の姿を垣間見ることができます。まだまだ少数派の中のさらなる一部の方にすぎないのかもしれませんが……。

発展途上にある栽培方法ですが、多くの可能性も秘めています。自然栽培を身近に触れてもらおうという趣旨のもと、生産者が全国から集まり、「自然栽培フェア」なるファーマーズマーケットが毎年開催されていますので、興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょう。

【主催】NPO法人 自然栽培フェア実行委員会

中身の伴った農作物が増えればいいですね